企画・製作意図(制作過程)

国政府が反体制派から違法に臓器を収奪する事実を露呈したドキュメンタリー『ヒューマン・ハーベスト(人狩り)』(ピーボディー賞受賞)を制作中、レオン・リー監督は、米オレゴン州でSOSの手紙がみつかったという国際的なトップニュースに惹きつけられた。

中国にいる反体制派、政治的活動家の個人的なネットワークを通して、リーが手紙の主を探していることを伝えた。連絡を取ること自体が危険であり、厳重な匿名扱いを確約した上での要請だった。当時、孫毅は自分の体験を世界に伝えようと本を書き始めたところだった。映画制作も考えたが、制作の知識は皆無だった。いくつかのつながりを経て、ようやく孫毅の連絡先が分かり、レオン・リーが探していることが伝えられた。孫は情報封鎖を越えてネット上から「ヒューマン・ハーベスト(人狩り)」のことを知っていたため、リーとの接触を強く望んだ。スカイプ上での初めての会話で、協力して映画を制作すること話がまとまった。

人権擁護の映画制作で中国の反体制派とみなされているリーは、中国に入って撮影することはできない。そこで孫は自ら撮影することを提案する。リーは孫に必要な機器の購入を指示し、スカイプでトレーニングを提供した。「馬三家からの手紙」は、中国、インドネシア、米オレゴン州で一年掛かりで録画された。撮影のほとんどはデジタル一眼レフとiPhoneで内密に行われた。複数の友人も撮影にあたったが、安全のため匿名を希望している。リーは彼らの撮影訓練にも関わっている。

リーに映像を送信するにあたり、孫はビデオファイルを圧縮し、暗号化されたサイトにアップロードして、リーのフィードバックを仰いだ。数ヶ月に一回、暗号化されたドライブで孫はカナダに映像を送った。送信方法はここでは公にできない。ドライブが届くと、リーは受信確認を暗号化されたテキストで送信。これを受けて孫がパスワードを返信することで、中国政府の傍受を避けた。

暗号解読では、全ての情報が正確に入力されないと、ドライブ内のコンテンツ全てが消えるように設定されていたため、映像の取り出しは非常にストレスの高い作業だった。幸いにも解読はスムーズに行われ、1つも消失した映像はなかった。

撮影が順調に続けられていた矢先に、リーは孫が行方不明になったという暗号化されたテキストメッセージを受け取る。孫は逮捕され、これまで誰も認識しなかったレベルの危険にさらされていた。当局は彼を追跡し、電話を押収。電話にはこの映画に関する極秘情報が入っていた。

馬三家でずっと一緒だった看守と囚人へのインタビューを計画していた時であった。また「黒監獄」と「洗脳センター」を暴露することを望んでいた。労働教養所は閉鎖後、「黒監獄」と「洗脳センター」に置き換えられ、強制労働制度を廃止したという声明にもかかわらず、今日も存在している。

孫の状況を危惧し、リーは撮影を即刻やめるように勧めた。制作を停止すること、そして孫にとって家から離れることは考えられないことであったが、リーは孫の出国を助けた。インドネシアで安全を確保した孫に、ようやくリーは会うことができ、撮影は続行された。SOSの手紙を受け取ったジュリー・キースもリーに会う機会に恵まれた。リーもジュリーもこれが最後の出逢いになるとは予想もしていなかった。リーが連絡した中国人のうち、中国入国の際に尋問された者がおり、『馬三家からの手紙』が中国政府にマークされていることは明白である。このドキュメンタリーが、世界の人々の認識を高め中国政府に圧力をかけることで、孫毅のSOSの手紙同様、多大な影響力を及ぼし、法輪功学習者、ウイグル人、チベット人、キリスト教徒、中国民主化の活動家たちへの迫害停止へと導かれていくことを望んでいる。

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